よろず帆船人突撃インタビュー【54】帆船<ソーレン・ラーセン>船長 Matthew Chapmanさん

よろず帆船人突撃インタビュー【54】

帆船<Soren Larsen(ソーレン・ラーセン)>船長 Matthew Chapmanさん(※肩書きはインタビュー当時)
Matthew Laurence Chapman(マシュー・ローレンンス・チャップマン)さんプロフィール
ご成年:1978(昭和53)年
ご出身:シェトランド諸島(スコットランド)
ご趣味:サッカー観戦(チェルシーのファン)

以下、
マットさん: MC
Salty Friends: SF

【SF】よろず帆船人インタビューを快く引き受けてくださりありがとうございます!早速ですが、ご出身はイギリスとのことですが、船に乗られる以前はトラクターのドライバーをしていらしたとか?

【MC】はい、シェトランド諸島(スコットランドの北にある島々)で育ちました。従兄弟が小さな農場を営んでいたので、そこの手伝いでトラクターの運転などをしていました。15歳で自分専用のトラクターも手に入れたのですが、あるとき祖父が所長をしていた小型船の造船所に職業経験に行ったのがキッカケで、船大工(見習い)になったのです。トラクターから船に乗り換え(笑)、16〜20歳までその造船所で働いていました。

【SF】船を造るほうが最初だったわけですね。一体どのような船を作られていたのでしょうか?

【MC】スペシャルボートが多かったですね。船大工なので関わっていたのは木造船の修理がほとんどで、古いものでは1900年に健造された<スワン>という(元)漁業用帆船を修理したことがありました。

【SF】そのまま船大工として仕事を続ける道もあったと思いますが?

【MC】やめる時まではずっと船大工のことしか頭にありませんでした。でも21歳でオーストラリアに行って、そこでは船を造るのではなく船の操船を仕事にしている人たちに出会ったのです。小さな島の船大工から、オーストラリアで船乗りになる魅力は大きかった。それが一つの転機になりました。

【SF】そこからどのような経緯でいまの<ソーレン・ラーセン>に乗られるようになったのでしょうか?

【MC】はじめに、オーストラリアで船乗りの資格を得るには乗船履歴が足りなかったので、まずヨットマスター(セーリングの資格)を取得しました。2004年にクロアチアで初キャプテンを経験、英国、トルコ、カリブ海などで経験を積んだ後、2007年に同じシェトランド出身の友人がニュージーランドの帆船<ソーレン・ラーセン>で船長をしていたのが縁で、同船に航海士として乗船する機会を得たのです。それまで色々な船に乗りましたが、帆船に乗るのは<ソーレン・ラーセン>が初めてでした。

【SF】そうでしたか。ヨーロッパといえば帆船レースが毎年開催されていますが、今年帆船レースに参加される予定はありますか?

【MC】去年はシェトランドの首都ラーウィックがホストポートになっていましたが、今年は地中海なので残念ですがちょっと遠すぎますね。

【SF】シェトランドの子供たちは、普段帆船に乗る機会はあるのでしょうか?

【MC】シェトランドではコミュニティー セーリングといって、島の学校の学生を乗せて航海が行われています。小さい子では5〜6歳の子供もいますよ。彼らが乗ってくるととっても楽しいですね。

【SF】帆船での特別なエピソードなどあれば教えてください。

【MC】なかでも一番の出来事といえばやはり<ソーレン・ラーセン>での経験です。私が航海士で乗っていた2007年に真帆が乗ってきて、彼女に出会えたこと。それから、いままでその同じ船で働き続けてこられたことです。当時彼女はDeckHandでしたが、その後僕が航海士から船長になり、彼女はDeckHandから航海士になりました。真帆はこの1年、太平洋で<ソーレン・ラーセン>に乗り続けていて、僕は欧州から新しいキャプテンとして戻ってきたのですが、同じ船に夫婦で船長と航海士として乗船するというのは本当に特別なことです。彼女とはとても良い関係で、これ以上のものは望めません。Pretty lucky!

【SF】夫婦で帆船乗り!憧れですが、意外に珍しいかもしれませんね。それにしてもご結婚、本当におめでとうございます!
そこで今回、<ソーレン・ラーセン>の航海で取りためた写真の中から、選りすぐりのとっておき画像をメルマガ読者に特別に公開していただけることになりました!!↓↓↓

OLYMPUS DIGITAL CAMERA  OLYMPUS DIGITAL CAMERA  Captain's Briefing  Crew on Boom
(左から順に)[フォークリフトを運転中][ヤードを修理しているところ][航海参加者へ、船長からの状況報告][ブームの上でポーズする乗組員たち]

Fillet Fish  Shoot Sun  Mexican  Elvis
(左から順に)[釣った魚を解体中][六分儀を使って太陽の高度角を測定しているところ][メキシコ人に見えます?][エルビスに扮装!]

Steer by foot  Matt Soren Photo
(左から順に)[脚でも操船できちゃいます][<ソーレン・ラーセン>船尾より]

【SF】貴重な写真をどうもありがとうございます!楽しそうな様子に、こちらも笑顔になります(笑)
最後にお伺いしたいのですが、帆船は維持費がかかって運営している団体はどこも大変です。セイルトレーニングをビジネスとして続けていくにはどうしたらよいと思われますか?

【MC】まずは扱い易い、管理し易い船を持つことでしょうか?少なくてもイギリスではそうですが、いわゆるスクエアリガー(横帆艤装の帆船)と呼ばれる大型帆船は維持するのが難しく、英国内ではもうこの型の船は見られません。政府がスポンサーになってくれれば別ですが、日本のように実習生を訓練したり、海軍など軍隊の訓練に使うのでなければ、メンテナンスのコストがかかり過ぎて難しいと思います。

【SF】メンテナンスは安全性にも直結する部分ですから、いかに低コスト体質であるかは確かに大事ですよね。今日はどうもありがとうございました。次に日本に帰国の際はまたぜひお話をお聞かせください。次航海のご安航と今後のご活躍をお祈りしています。

(インタビュー:Kazú)
このインタビュー当時、マットさんは当サイト「船乗り真帆の旅日記」でおなじみの真帆さんとちょうどご結婚されたばかり。久々の帰国時にお話を伺いました。<ソーレン・ラーセン>を下船後はスコットランドの帆船<Swan>の船長もされるなど、現在は地元のシェトランドを中心にご活躍されています。

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